周りの理解の大切さ

―― 実は叶さんには40年前の、今につながるラブストーリーがあるんだとか。

昔からの友人で、性別は女性なんだけど『僕はボーイッシュなんだよ』と言っている子がいました。私に好意を寄せてくれていたんですが、それに対して、一人の人間として見ていたから何も思わなかったんです。でも当時は、女性が女性を好きになることがどういうことかわからなかった。LGBTなんて言葉もなかった。ある時再会して、今もずっと友達だけど、振り返ると当時何気ないことで傷つけていたこともあったんじゃないかと思います。

―― 何気ないこと・ちょっとしたことが、相手にとっては…という話はよく聞きます。たとえば、仕事に関することであれば、男女別になっている制服、トイレなどの設備は想像が付きやすいですが、社員旅行の部屋割りやお風呂も…。

お風呂は学生時代から、絶対に男子と一緒に入れませんでしたね。水泳の授業は訓練だと思って我慢しました。お手洗いも普通の男子みたいにできなくて、毎回個室に入るから『大ちゃん』なんて呼ばれて、そのあだ名は進学しても続きましたし、面白半分で覗き込まれてすごい喧嘩になった覚えがありますね…。

―― 気持ちとしては、女性が男子風呂や男子トイレに入るってことですよね。ありえない状況です…。

麻倉のデビュー前、男性4人グループを組ませて地方公演に行ったことがあります。そのときも、他の3人との相部屋が落ち着かなかったんでしょうね、私の部屋に来て『お風呂を貸してほしい』と。でもそれに対しても、生徒を通して親御さんたちの間にまで変な噂が立ってしまったりして、辛い思いもさせたなと思います。

―― 最後に、企業の方に向けて何かメッセージはありますか?

社長さんなどの経営層がLGBTについて理解がある場合でも、現場に受け入れる環境が整っていないパターンもあります。特に大きな会社では、目が行き届かない。でも雇うなら、すべてを引き受けるぐらいのつもりであってほしいなと思います。

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