告白受け、11年 『娘』は『新郎』に

奈良県広陵町の澤井陽子さんが5人きょうだいの末っ子から高校の保健室に呼び出されたのは11年前のことでした。

養護教諭と並んで向き合ったわが子が言いました。

「手術をして男性として生きたい。」

女の子として生まれたが、髪を短く切り、いつもスラックスをはいていた。男の子のような子とは感じていたが、そこまで深く考えていたのか。

胸や子宮、卵巣を取る手術をすること、ホルモン注射をすること。説明を聞いても陽子さんの頭には入ってこなかったそうです。

他のきょうだいに相談しても「本人が一番つらい、その気持ちをどうにかしてやることが先」との答え。夫も「応援する」という考えで陽子さん1人だけが受け止められなかったそうです。

本人も中学生の時に性同一性障害の存在を知り、養護教諭に相談、「親御さんには伝えないの」と促され、保健室で陽子さんに打ち明けました。

なかなか受けられない陽子さんの様子を見て、姉が末っ子に手紙をくれた。

「娘として大切に育ててくれたのにすっと受け入れられるほうが不思議」お母さんは頭ごなしに反対する人じゃない。時間が解決してくれる。と末っ子は待ちました。

幼い頃から夢だった石を目指して大学の医学部に入る直後から男性になるための治療をすべく動き始めました。大学生の間に胸や子宮を取る手術を終え、戸籍を男性に変えた。新しい名前は親子3人で相談して決めたそう。

陽子さんは「これでこの子が望んだように生きやすくなる。娘でも息子でも、私の大事な末っ子。1人の人間として応援していこう」と思ったそうです。

息子には大学時代に出会った交際相手がいました。

陽子さんは戸惑ったそう。「孫に会うという幸せをご両親が経験できないなんて申し訳ない。」彼女の両親からも交際を反対されました。

「僕はややこしい事情を抱えているけど、この経験があるから当たり前だと思っていた幸せにも気づけた。その幸せを大事にする力があると自負しています」と彼女の両親に訴えました。

交際を応援していた彼女の兄も説得してくれ、今年の7月、交際開始から7年の記念日に2人は結婚しました。

来年3月には結婚式を予定しているそうです。

きっと2人を支えてくれたきょうだいたちが盛り上げてくれることだろう。

【※朝日新聞より引用】

告白することにも勇気がいるし、受け入れることにも様々な葛藤があります。

そんな中で理解ある周りに支えられ、当たり前だと思っていた幸せをつかむことができたというのは大きな意味があると思います。

わからないことだから否定するのではなく、まず受け入れ、理解するということが誰にとっても重要だと思います。

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